近刊案内
2024年10月1日
10月以降の近刊
暖簾の紋章
社名とマークから読み解く企業の心
10月中旬発売予定
村中憲二 著
A5判並製 448頁
定価4500円+税
ISBN978-4-7684-5967-6
江戸時代、武士は家名と家紋で自らを表したが、家名の名乗りを許されない商人や職人は店の名称である屋号と店の紋章である暖簾で自らを表した。暖簾紋は商家の入口に下げられた暖簾に染め抜かれた紋章のことで、図柄も意味合いも家紋とほぼ同じであると言っていい。
広告宣伝手段のあまり多くない時代、屋号と暖簾紋は現在よりはるかに重要だった。転じて、暖簾という言葉は店主や店の信用を表すようにもなった。ドラマには「暖簾にかけて……」という台詞があるように暖簾は物理的な存在というより、その店が存在を知られ、信用されていること、さらに言えばその背景にある文化であり、ブランド力とも言えるだろう。
本書は「屋号」と「暖簾紋」の生まれた歴史的経緯にスポットをあて、それらができあがった背景や変化していった経緯を知ることで、創業者の想い、暖簾経営哲学、各企業がどのように時代に寄り添い生き抜いたかを調べたものである。
家紋に比べ暖簾紋を研究した書物は少なく、詳細を知るのは難しいのだが江戸後期から明治にかけて、各地で商家の案内本が作られていて、暖簾紋も多く掲出されている。それらから27,702点を採取し分類した。
それら企業情報は創業ストーリーになっており、興味深い歴史物語である。
【著者紹介】
村中憲二(むらなか・けんじ)
1950年山口県生。法政大学卒業。出版社勤務後、編集プロダクションを設立し『わたしの藤沢周平』(文春文庫)をはじめ、多くの出版物、P R 誌など広報制作物の編集・執筆を行っている。また大手銀行系シンクタンクのビジネス誌を編集統括し、数百社の優良中堅企業を取材・執筆する。社史の執筆も多く、『太陽ホールディングス60年史』では日本経営史研究所主催の優秀会社史賞、『ニチバン100年史』では全国カタログ展銀賞を受賞。家紋では『家紋の本』(宝島社)を編集統括した。
リプロダクティブ・ジャスティス
引き裂かれる性と生殖の権利
12月上旬発売予定
一般社団法人ふぇみ・ゼミ&カフェ 編
A5判並製 208頁
予価2000円+税
ISBN978-4-7684-5957-7
一般社団法人ふぇみ・ゼミ&カフェが2022年に開催した連続講座「引き裂かれる性と生殖の権利」の講演録を加筆・修正し、新たな内容を加えて書籍化。
「リプロダクティブ・ジャスティス=性と生殖の正義と公正」は、90 年代からアメリカの黒人フェミニストやセクシュアリティが掲げてきた。性と生殖の権利を語る時、例えば貧困層や移民、人種的マイノリティの女性たちの権利は周縁に追いやられ、そこにはジェンダー以外にも様々な差別があることを見落としてはならないというインターセクショナリティ(差別の交差性)の指摘であり、@子どもを持たない権利、A子どもを持つ権利、B安全で健康な環境で、子どもの親になる権利を要求してきた。さらにセクシュアル・マイノリティやセックスワーカーの経験から性的自己決定権及びジェンダーの自由も重要だとされる。これまでの議論の中で見落とされ、「つけ加え」として扱われてきた人たちの経験から、日本で生きる私たちにとってのリプロダクティブ・ジャスティスを問い返すものである。
【著者紹介】
ジェンダーと多様性についての一般向け講座を開催する「ふぇみ・ゼミ」(2017年設立) と、ジェンダーと様々なテーマをつなぐアート&カルチャーの公演やイベントを開催する 「ゆる・ふぇみカフェ」(2014年設立)が共同で設立した非営利型一般社団法人。 差別の交差性(インターセクショナリティ)の視点に立って、@講座、公演、展示などの企画・開催A若い世代の研究者、アクティビスト、アーティストの育成B調査研究と提言活動などを行っている。