近刊案内
2021年1月14日
2月以降の近刊
尊厳なきバリアフリー(尊厳なきアクセス 改題)
「心・やさしさ・思いやり」に異議あり!
2月上旬発売予定
川内美彦 著
A5判並製 216頁
定価2000円+税
ISBN978-4-7684-3584-7
C0036
「福祉のまちづくり」や「心のバリアフリー」は、はたして障害者の社会参加実現に役立ってきたのか。むしろ、それを阻む空気を社会に広めたのではないか。障害者の権利や意思が尊重される社会への転換を目指した問題提起の書。
【著者紹介・担当編集者より】
川内美彦(カワウチ・ヨシヒコ)
一級建築士事務所、アクセス・プロジェクト主宰。アクセス・コンサルタントとして、だれにも使いやすく、安全な建物やまちづくりをめざしている。また、「福祉」という視点ではなく、障害のある人の社会へのかかわりを権利として確立していく活動を展開している。2000年「第一回ロン・メイス21世紀デザイン賞」受賞。著書に『バリア・フル・ニッポン』(現代書館)、『ユニバーサル・デザイン―バリアフリーへの問いかけ』(学芸出版社)、『ユニバーサル・デザインの仕組みをつくる』(学芸出版社)ほか。
JRでは、車いす対応座席のWEB予約ができるのは新幹線のみで、しかも3日前まで。このことを、著者の指摘で初めて知った。
国も全国の自治体も「福祉のまちづくり」を掲げてバリアフリーを推進してきたかに見えて、障害者の移動の自由をはじめとするアクセスビリティが十分に保障されているとは言い難い。
著者は、「福祉のまちづくり」という言葉そのものの問題点を指摘し、原点に立ち返って検証を試みている。「今さら?」と言われるかもしれない。
しかし、障害者の権利や尊厳が保障された社会にしていくには、こうしたスローガンの危うさを一つひとつ紐解いて、軌道修正していくことが大事だと思う。
【目次】
第1章 この国で障害をもつということ
第2章 夜遅く来るな
第3章 「心」「やさしさ」「思いやり」
第4章 「福祉のまちづくり」の歴史
第5章 社会モデルと権利条約と国内法
第6章 IPCガイドラインと2020行動計画
第7章 バリアフリー法
第8章 トイレの機能分散
第9章 新幹線の車いす席
第10章 ハンドル形車いすに対する差別
第11章 国交省の「権利」に対する姿勢
第12章 福祉、「福祉のまちづくり」、「心のバリアフリー
第13章 コロナ禍で見えたもの
付章第1 仙台での「福祉のまちづくり」と車いす市民交流集会
付章第2 朝日新聞厚生文化事業団の果たした役割
付章第3 町田市の取り組み
付章第4 1977年神戸市民の福祉を守る条例
付章第5 バリアフリー法
どうして、わたしはわたしなの?
子どもと描く、すてきな人生哲学
2月中旬発売予定
トミ・ウンゲラー 著/アトランさやか 訳
B5判変型上製 160頁
予価2200円+税
ISBN978-4-7684-5895-2
フランス哲学雑誌『フィロゾフィー・マガジン』の人気連載の書籍化。「戦争に勝ったら何がもらえるの?」「どうしてお金があるの?」「神さまは男、それとも女?」――『すてきな三にんぐみ』でおなじみの絵本作家、トミ・ウンゲラーが悩める子どもにアドバイス! だれもが自由になれる、ユーモアと風刺がこめられたイラストたっぷりの人生処方箋です。
【著者プロフィール】
トミ・ウンゲラー Tomi Ungerer
1931年11月28日 、ストラスブール生まれ。絵本作家、グラフィック・デザイナー、イラストレーター、おもちゃ発明家、コレクター、広告デザイナーなどさまざまなジャンルで活躍し、重要な児童文学作家のひとりとして60年以上ものあいだ高く評価されてきた。著書は40以上の言語に翻訳され、映画の原作になった作品もある。代表作に『すてきな三にんぐみ』(1961年、日本語版は偕成社より1969年刊)、『ゼラルダと人喰い鬼』(1967年、日本語版は評論社より1977年刊)、『キスなんてだいきらい』(1973年、日本語版は文化出版局より1974年刊)、『オットー : 戦火をくぐったテディベア』(1999年、日本語版は評論社より2004年刊)などがある。1998年、児童文学のノーベル賞とされる国際アンデルセン賞画家賞。 2019年2月9日にアイルランドで死去。
【訳者プロフィール】
アトランさやか Sayaka Atlan
1976年生まれ。青山学院大学文学部フランス文学科卒業。2001年に渡仏、パリ第四大学(ソルボンヌ大学)にて学び、修士号を取得。パリの日本語新聞『OVNI』でのコラム連載など、パリをベースに執筆活動中。著書に『薔薇をめぐるパリの旅』(毎日新聞社)、『パリのアパルトマンから』(大和書房)、『ジョルジュ・サンド 愛の食卓:19世紀ロマン派作家の軌跡』(現代書館)、共著に『10人のパリジェンヌ』(毎日新聞社)がある。
http://blog.sayakaatlan.com/
子どもから大人まで、だれもが自由になれる哲学入門書です。
シリーズ藩物語 別巻
白河藩
2月中旬発売予定
植村美洋 著
A5判変型並製 208頁
定価1600円+税
ISBN978-4-7684-7301-6
C0321
白河関が置かれる等、古代から奥州の出入り口・要衝の地だった白河。源頼朝の奥州侵略、関ヶ原の戦いの幕開けとなった会津攻め、戊辰戦争など大きな転換期に戦いの場となった。
1627年、棚倉藩から丹羽長重が入封して十万石で白河藩を立藩。小峰城を改修して白河小峰城を築き、城下町をつくった。
1783年、八代将軍徳川吉宗の孫・定信が松平家の養子として入り藩主に。定信は幕府の老中として寛政の改革を行い、高評価を得る。松平氏の後に入った阿部氏も老中を輩出した。
1865年、藩主が急遽棚倉藩に移封になり、白河藩は廃藩、幕領に。藩主不在で戊辰戦争に突入し、大きな被害を受けた。この無念は今なお白河人に宿り、それをバネに躍進を期する。
【著者紹介・担当編集者より】
植村美洋(ウエムラ・ヨシヒロ)
白河市文化財審議委員を経て、現在は中山義秀記念文学館館長。
寛政の改革を行った松平定信をはじめ老中を輩出した「人が育つ藩」の秘訣。戊辰戦争の最前線で受けた屈辱をバネに飛躍する白河の歴史を活写!
福島県白河市・白河小峰城に居を置いた藩の物語。
版籍奉還時には「藩」ではなく幕領だったため、「シリーズ藩物語」には入りませんが、時代を通じて重要な地・藩だったため、「別巻」として刊行します。
シリーズ藩物語
広島藩
2月中旬発売予定
久下 実 著
A5判変型並製 208頁
定価1600円+税
関ヶ原の後、毛利氏に替わり入国した福島正則が藩の基礎を固め、次の浅野氏が250 年の藩政を担った。
中国地方の中央、海と山に囲まれた好条件を活かした産業・交易で発展、文化・学問が花開いた。また、広島は幕末動乱の舞台でもあり、そこに生きた人々の姿も追う。三次や現在の安芸高田市・吉田にあった支藩、赤穂浪士で有名な同族の赤穂藩にも触れる。
【著者紹介・担当編集者より】
久下 実(クゲ・ミノル)
広島県立博物館学芸員。
自然と立地に恵まれ、産業・文化・学問を開花させた西の大藩
広島県広島市・広島城に居を置いた藩の物語!
シリーズ藩物語
福山藩
2月中旬発売予定
八幡浩二 著
A5判変型並製 208頁
定価1600円+税
安芸と備後を領有していた福島正則改易後、西国の大名たちを抑えるため、徳川家康の母方の一族である水野勝成を入れて立藩。大名の居城でありながらも幕府の天下普請として10万石の家格には不釣り合いなほど巨大な城が築かれた。しかし、お家騒動により水野家は移封となり代官支配、松平氏時代を経て、阿部正邦が宇都宮から入る。こののち廃藩置県まで阿部家は福山藩主として大坂城代、老中など幕府の要職に就く。ことに幕末に老中を務めた阿部正弘は有名で、藩校誠之館を開くなど学問にも功績を残した。
江戸時代の旅人たちが愛した鞆の浦、ペリーも飲んだ名物の保命酒、江戸時代から続く慈善団体の義倉など、福山の魅力も紹介する。
【著者紹介・担当編集者より】
八幡浩二(ヤハタ・コウジ)
福山市立大学准教授。
2022年に築城400年を迎える幕府最前線の城を備える譜代藩。
広島県福山市・福山城に居を置いた藩の物語!
朝倉喬司芸能論集成
芸能の原郷 漂泊の幻郷
2月下旬発売予定
『朝倉喬司芸能論集成』編集委員会 編
A5判上製 944頁
予価10000円+税
ISBN978-4-7684-5891-4
没後10年を経て、今なお根強いファンをもつ稀代のルポライター・朝倉喬司の作品から、芸能にまつわる論考をピックアップ。改めて目を見張らされるのは、彼の目配りのよさと徹底的に足を使う取材スタイル。ヤクザやテキヤ、ちんどん屋といった人々に密着し、切迫感と寂寥感が滲む文章を書いたかと思えば、『バナちゃんの唄』のような幻想的・詩的な文体、河内音頭への熱い思い漲る疾走感溢れる筆致と、彼の多様な文才がこの一冊に凝縮している。三波春夫や平岡正明、岡庭昇との芸能をめぐる座談会、松枝到、大月隆寛との鼎談、今井照容、神谷一義、紀和鏡、西世賢寿、久田将義、平井玄、林幸次郎、元木昌彦、鷲巣功(五十音順)各氏による追悼エッセイも収録。
【著者紹介・担当編集者より】
朝倉喬司(アサクラ・キョウジ)
1943年岐阜県生まれ。早稲田大学文学部中退。「週刊現代」の記者を経てノンフィクション作家となる。88年より現代書館の雑誌『マージナル』編集委員。著書『毒婦伝』(中公文庫)、『スキャンダリズムの明治』(洋泉社)、『涙の射殺魔・永山則夫と六〇年代』(共同通信社)、『都市伝説と犯罪』『「色里」物語めぐり』(以上、現代書館)など多数。2010年、自宅で亡くなっているのが発見された。享年67歳。本作は朝倉氏の芸能関係の著作を編集委員会がまとめたものになる。
全編にわたって朝倉節が自由闊達に冴えわたる、心躍る芸能論集。最終章に収められた朝倉氏を悼むエッセイは、しんみりと朝倉氏の死を悼む人あり、生前の彼との楽しいひと時を描いた人ありと執筆者各人の個性が光りながらも、朝倉氏の人柄が偲ばれる内容となっている。
没後10年、改めて圧倒される
タフな取材と変幻自在の筆致!
豪華執筆陣による渾身の追悼エッセイも収録 !
武道家 堀辺正史が語る武士道
2021年発売予定
堀辺正史 著
四六判並製 240頁
定価1800円+税
ISBN978-4-7684-5888-4
C0012
「武士道」という言葉が一般に膾炙されるようになったのは明治期以降である。
世界に武士道を知らしめたのは、新渡戸稲造の『BUSHIDO,THE SOUL OF JAPAN』だが、この「武士道」という言葉はそれまで日本で使われていなかったわけではない。
つわもの、もののふ、さぶらい、など武士を連想させる言葉はあったし、武士の生き方を表象した精神は存在したのであるが、「武士道」という言葉は明治時代の精神を表現したものであり、日本のナショナル・アイデンティティーとしての国民道徳を、武士道の名によって確立したものであった。(新渡戸は武士道の歴史は述べず、頭脳で武士道を作った。)
本書は新渡戸に代表される明治期武士道論の、「大和魂―国民道徳―民族 精神高揚」ではない、本来の武士道の解釈を目指した。
武士はいつ生まれ、どのようにその生き様が変化したかを解明する。
武士道とは、命と名を掛け、「人は一代、名は末代」の精神を表現するものとして、歴史的に究明した。
【著者紹介・担当編集者より】
堀辺正史(ホリベ・セイシ)
1941年10月14日、水戸市生まれ。2015年12月26日逝去。
父は特別高等警察官(特高)として、東条英機の水戸来訪時には護衛を務めた。 一子相伝の武道「司家骨法」 の第52代伝承者。日本武道傳骨法會創始師範。
武道の維新・民主化を唱え、秘伝の全てを情報公開(奥義の民主化)している。
北一輝に私淑し、民族派からは左翼、左翼からは民族派だと排除されてきた。
東中野に「骨法」の道場を開き、アントニオ猪木他のプロレスラーや多くの格闘 家、プロボクサーに技術を教授。
思想家としても活躍。また、アメリカのドキュメンタリー番組で紹介されたのを 機に、ヨルダン国王から直々の要請で国王側近の特殊部隊に、特別教授実施の経 歴もある。
新渡戸の武士道は、キリスト教に対しての日本精神の崇高さを示すために書かれ たものだが、本書は実際の武道家が長年研究した武士の精神を体現するために書 かれた。武士の誕生から、幕末の文武士に至る、武士の歴史を詳細に論じた、画 期的武士道論であるところが凄い。