編集部だより
2009年05月05日
ひとは、リチウムイオン電池よりニッカドに近い
だいぶ前の話になりますが、去年の年末12月13日から年明けの1月27日まで、体温が37度2分を超えていました。ごく弱い微熱です。食欲はあるのに食べられず、貴重な睡眠時間にもかかわらず1時間おきに目覚め、なぜか足の裏はつるし、イライラするし、些細なことで動悸・息切れ。
そんなとき大抵のひとは、薬を飲んだり、栄養ドリンクを飲んだり、栄養価のあるものを食べたりするのでしょう。しかし私はこれらの対処を意識的に避けました。避けたからこそ長期間低空飛行できたのです。
こんなとき、私はいつも頼っている鍼灸師に電話をします。そして具合を説明し、なんとしても12月26日仕事納めまで凌ぐためにはどうしたらいいか指示を仰ぎました。そこで受けた注意事項とは。
・できるだけ食べない。できれば休日に絶食する。
・胃に氷嚢をあててよく冷やす。
・足の裏も氷嚢でよく冷やす。
・薬や栄養ドリンクはダルくなるだけだから飲んじゃダメ。
そして「高熱が出れば最高だけど、ちょっともう難しいかもね」とのこと。つまり、消化器官をなるべく休ませて、胃が炎症を起こしているから熱を取りなさいということ。足の裏の症状も内臓からきているから、外科系病院に行っても無駄。薬が禁止されたのは体の調節機能を平坦にしておくためで、高熱が期待されるのは一発で体をリフレッシュできるからです。でも高熱を出すほど体力は残らないかもね、ということでした。
さっそく実践すると効果テキメン! 休日には意を決して「絶食」にチャレンジ。「一日食べないとかなり楽になるよ〜」と言われていたので、暴れる食欲をなだめながらただ我慢。「口寂しさ」は煙草で解消できました。
次の日目覚めたとき、明らかに体が軽快になっていました。体温を測ってみましたが、やはり微熱。お腹が空っぽなので軽いのは当然ですが、体調が良いように感じられることに感激。
やっと仕事納め。「よーし、熱出すぞ!」と意気込んでいたのですが、うまくいかず、ずるずると微熱が続きあっという間に仕事始め。そして1月27日、いつもよりダルく熱っぽく気持ち悪いので病院へ行くと、なんとインフルエンザとのこと! しかしこれでやっと高熱が出て、インフルエンザとともに私のひと月半続いた微熱もすっかり治まったのでした。
高熱は体の大掃除。むやみに解熱せず、たくさん汗を出してたくさん体に働いてもらうのも、すっきりさっぱりします。
氷嚢&絶食&高熱。この3つが低空飛行を支え、完治に導いてくれました。とくに「お腹に氷嚢」は、胃痛・モタレ・むかつき・嘔気・二日酔いなどにテキメンです。氷と水とコンビニのビニール袋2枚でできますから、ぜひお試しください。冷たいのは最初の2秒くらいです。保冷剤ではいけません。
さて、この低空飛行中取り組んでいたのが弁護士の日隅一雄先生による『審議会革命――英国の公職任命コミッショナー制度に学ぶ』(小社刊/1000円+税)です。
この本は、英国で運営されている「公職任命コミッショナー制度」の実施綱領の原文と全訳、日隅先生による解説が掲載されています。
この実施綱領には、大臣が公職を任命する際に従うべきことが微に入り細にわたって書かれています。どのように募集をするか、公表のしかた、応募条件、再任について、兼任について、応募書類様式、選考、面接、文書の保管や苦情の際の応対方法まで、詳細なマニュアルが決められています。そして「公職任命コミッショナー」とは、この実施綱領をつくり、独立した査定者として審査に加わりチェックをするのです。こうしてあらゆる不正や偏りが起こらないよう、仕組みから整えているのです。
不正をしない人間を探すのは至難の業です。いったい何を基準に選べばいいか分かりませんし、今は清廉潔白でもいつか利権のうま味に負けてしまうかもしれません。しかし、より不正が起こりづらいシステムを作ることはできそうです。その可能性と他国での実践を、この本は丁寧に紹介し、そして皆さんに提案をしているのです。
政府の隠れ蓑になり果てている「審議会」を、本来の市民のための組織へと変革させる必要性とその方法についてが記された『審議会革命』。ぜひご一読いただきたいと思います。
(高)