現代書館

 官僚さんには申し訳ないのですが、「うごめく」官僚達をそれこそ春の蟲に例えると、日本という土壌で利権を餌に、国民というおしげもなくお金を降り注いでくれる太陽に包まれてスクスク育っているように見えます。いえ、私はおしいです。きっと誰しもおしいはずです。蟲を飼うために税金を払っているのではないのです。しかし、こんな大がかりな「押し売り計画」に大きな声でNo!と言えず、不況だなんだと言いつつも、消費好き浪費好き、新しい物好き最先端好き、ちょっと綺麗な画像(しかし何と言っても3次元の方が綺麗です)を見るためなら10万円くらいポンと出しちゃう我々なのです。批判しているからといって他人ごとではありません。私もどこかで加担しているはずなのです。

 大きな大きな歯車がまわっていて、とてもじゃないけど歯が立たないように見えます。せいぜい愚痴をこぼすくらいが関の山……というところで終わってしまう情けない私ですが、著者の世川氏はそうではありません。世川氏の思い・声は、本書を介して何千という人々へ、そこから何万という人々へ広がっていきます。最初に声を出す一人がいなければ、拡声器を持つオカミにはかなわないでしょう。しかし抑え込まれている疑問を声に出して問うていくことが、ひいては大きな仕組みを少しずつ変えていくことにつながるのではないでしょうか。本は、今でもそういう力を持っているのだと、今回改めて感じています。

 いやー書籍って、ホンットにいいもんですね!(栗)

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