編集部だより
2011年05月19日
ジプシーと生活保護
3月11日に起きました東北地方太平洋沖地震により、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興をお祈りしております。
復旧はまだ緒に就いたばかりであり、福島原発における事故は現在も被害は継続中で、まだ各地で困難な状況が続いております。
この時期、小社では二点の書籍を出版致しました。堀江邦夫氏著『原発ジプシー──被曝下請け労働者の記録』(増補改訂版)と、東京ソーシャルワーク編『How to 生活保護──申請・利用の徹底ガイド』(雇用不安対応版)の2011年度版です。
『原発ジプシー』は、1979年に小社より発刊しましたオリジナル内容を完全収録したうえで、さらにこの度の震災について著者の現在の見解と最新調査情報を新たに加え増補改訂版と致しました。美浜、敦賀、そして福島原発で点検停止中の炉内清掃作業など危険な労働に従事した下請け労働者として原発の裏まで知りぬいた著者が、原発現場の実態とそこで働く労働者の本音を赤裸々に綴り話題となった本です。この度の増補改訂版には斎藤美奈子氏と森達也氏にご推薦の言葉をいただいております。
『How to 生活保護──申請・利用の徹底ガイド』は、20年前に初版が出て以降、毎年、新年度版を出し、かつ今回の[雇用不安対応版]では6回目の大改訂です。今回の震災・原発事故によって多くの人命・住居・職場、そして地域社会が失われ、未曾有の困難の中で多くの方々が苦しい日々を送っております。こんなときにまず必要なのは希望の礎となる日々の保障です。生活保護は憲法で保障された権利です。利用者だけではなく、職員の方にも制度に則った適正な運用ができるよう現場対応原則について具体的に提言しております。
「原発の本当の実態」「生活を守る」ことは、いま日本に住むすべての人にとって切実に求められている情報です。復興までの長い道のりの中で、少しでもお役に立てる情報をお届けしたいと願っております。