4月28日、石垣から那覇空港に着陸しようとしていた格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーション機に重大な操縦ミスがあり、大きく報道されました。
那覇空港の7キロ手前で、機体を高度約100メートルにまで下げてしまい、海面に異常接近してしまった事故です。
幸いにも海面衝突は回避することができましたが、事態を重く見た国交省は「重大インシデント」と判断し、すぐに調査に乗り出しています。
航空事故は人命に直結する重大な問題なので、当然、航空機運行については幾重にも事前事故防止策が施されており、設備も操縦手続きも厳密に整備されています。機長の単純ミスや誤解などの些細な誤りはけして許されないシステムが構築されているはずでした。
にもかかわらず「管制塔から降下の指示が出たと誤解した」という信じられない機長の、悪い意味での「人間らしい」ミスで、今回も多くの人命が危機に晒されました。
もし、対地接近警報装置が作動しなかったらと思うとゾッとします。
今年の3月には、クアラルンプールから北京に向かっていたマレーシア航空機が消息を絶ち、いまも行方が判然としないという痛ましい事故が起きたばかりでした。
ピーチ・アビエーションとマレーシア航空機の事故では状況がまったく異なりますが、いずれの事故でも天候などが主原因ではなく、人的ミスが大きな要因になっているのではないかと言われています。
どんなにコンピュータが発達しても、最後は人間が適切に判断しない限り、事故を防ぐことはできません。
コンピュータや計器の補助は絶対に必要ですが、人間の判断と行動こそが安全を守っていると改めて思います。
航空機や旅客船、そして原子力発電など複雑で巨大なシステムが存在する社会に生きるわれわれにとって、危険要因も頼みの綱もどちらも「人間」であるという認識のもと、もう一度「安全をいかに確保していくか」というテーマに向き合うべきときだと痛感するニュースでした。
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