2012年の年末、小社では
『〈3・11後〉 忘却に抗して―─識者53人の言葉』(毎日新聞夕刊編集部 編 定価1700円+税)という書籍を出版しました。
震災の翌年であるこの年に、タイトルに〈忘却に抗して〉という言葉をすでに入れていることでも分かるように、震災・津波被害への発言が少しずつ少なくなってきてきます。
震災・津波被害への取り組みは今後も重要ですが、原発事故に至っては現在もまだ継続中であり、その収束はまったく想定できない状況です。
この本では、今日の状況をすでに危惧している声が多く収録されております。問題が解決されないまま社会的注目が少なくなってしまうことで被害が静かに、そして確実に継続してしまう状況を再び可視化しようとする、各界の識者たちの模索の記録でもあります。
吉本隆明氏、辻井喬氏、藤本義一氏、吉武輝子氏、津島佑子氏等、現在ではすでに鬼籍に入られた方々の証言も収録されております。
5年目の節目を迎える今こそ、震災直後のあの想いをそれぞれが想起する機会にしたいと願っております。
本書がその一助になれば幸いです。