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現代書館の最寄り駅である飯田橋から新宿方面へ向かう電車に乗り込み、外濠沿いの風景を愉しんでいると、四ッ谷駅のホームに滑り込む直前に外濠公園野球場が見えてきます。左翼110m、中堅70m、右翼90mという、なんとも珍妙な形状が本場メジャーリーグの球場を髣髴させ(?)、通り過ぎる度ついつい見入ってしまいます。左右非対称の球場には、野球というスポーツの「自由さ」が表れているようで、私は好きなのです(この野球場、確か4月に亡くなられた井上ひさし氏の小説の舞台にもなっていたはずと思い出し、自室の本棚をひっくり返して文庫本を探してみたのですが、どうしても見つかりません…)。 草野球用の球場は、複数のフィールドが隣接していることが多いですが、外濠公園や上野公園、青山運動場などのグランドは1面のみで完結しており、外野にはフェンスが設置してあるので、利用者はなんとなく「本式」の気分を味わえると同時に、打者は柵越えのホームランを狙ってどうしても大振りしがちになります。かつて草野球に血道を上げていた頃、普段は地道にセンター返しを心がけていた私も、上野や青山では身の程を忘れてブンブン振り回していたものでした(挙句、フェンス直撃の当たりをホームランと勘違いして1塁までのんびり歩き、チームメイトから大顰蹙を買ったことも…)。腰痛のためすっかりプレーから遠ざかってしまい、どうやら柵越えホームランは果たせぬままに終わってしまいそうで、悲しい限りですが…。
日本の足下を見つめ直すために、必読の2冊!
さて、そんな野球狂が愛読した1冊に、平出隆氏の『白球礼讃 ベースボールよ永遠に』があります(私にとって生まれて初めて手にした「岩波新書」でもありました)。数年前、同書の担当編集者であった川上隆志氏(現在は専修大学教授)とお会いする機会に恵まれた折には、大変に感激致しました。その川上氏と『新潮』の元編集長で『余多歩き菊池山哉の人と学問』で読売文学賞を受賞された前田速夫氏、朝鮮半島の芸能・祭事を記録し続けてきた映画監督の前田憲二氏による韓国探訪記『渡来の原郷 白山・巫女・秦氏の謎を追って』(定価2200円+税)を6月中旬に発売しました! 近年盛んに唱えられている「東アジア共同体構想」を考える上でも、日本列島に多大な影響を与えた古代朝鮮文化を知ることは極めて有意です。
最後に、小社より2008年刊行の『渡来の民と日本文化』(沖浦 和光・川上 隆志 著 定価2200円+税)より沖浦和光氏の一文を引用させていただきます。「仮にも“東アジア共同体”を口にするならば、“モノの流動”“情報の流通”だけではなく、“ヒトの流動”“文化の交流”も念頭におかねばならない。また実際問題として、そのような動きは、主として〈民〉のレベルで加速化されつつある。」
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