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「もう一つの日本」を求めて |
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装幀 伊藤滋章 |
三島由紀夫の『豊饒の海』は、1970年の自決直後に発表されたことで大きな話題となったが、これまで、この全4巻に及ぶ大著が丁寧に読み解かれてきたとは言いがたい。本企画の意図は、この大作の重要な背景でもある高度経済成長の後、長い不況に陥り、さらには東日本大震災と原発事故を経た21世紀の日本を見通していたかのように予見的な作品と考えることを基調とした読み直しである。終局に示される「虚無の極北」――進歩主義の果てに辿り着いたブラックホールのような世界観を越えて、目の前に現前している世界とは別の「もう一つの日本」を探すための水先案内として『豊饒の海』を参照する。三島研究の第一人者による画期的論考。 [著者紹介・編集担当者より] 白百合女子大学教授。1963年、横浜市生まれ。東京大学文学部卒業。三島由紀夫文学館研究員。著書『三島由紀夫 幻の遺作を読む―もう一つの「豊饒の海」』(光文社)、『決定版三島由紀夫全集42年譜・書誌』(共著、新潮社)、『津島佑子の世界』(編著、水声社)等。 |
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