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差別されてる自覚はあるか |
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装幀 箕浦卓 |
1970〜80年代の障害者運動を牽引し、「否定されるいのち」の立場から健全者社会に鮮烈な批判を繰り広げた日本脳性マヒ者協会青い芝の会の「行動綱領」を起草、理論的支柱であった故・横田弘の思想と今日的な意義を探究する。 [著者紹介・編集担当者より] 2016年7月26日、相模原の障害者施設で「障害者は生きていても仕方ない」とする元施設職員が重度知的障害者を大量に殺傷する事件が起き、社会を震撼させた。様々な論評がなされるなかで注目されたのが、70年に横浜市で起きた障害児殺し事件で、殺した母親への同情と減刑嘆願運動が起きたことに対して「障害者は殺されても仕方がない存在なのか」と鮮烈な批判を展開し、施設収容策を「健常者のエゴ」と喝破した神奈川「青い芝の会」であり、その理論的支柱の故・横田弘が書いた『障害者殺しの思想』であった。その横田が起草した「われらは愛と正義を否定する」という衝撃的な主張を含む「青い芝の会」行動綱領は、その後の障害運動に決定的な影響を与えた。「青い芝の会」の中でも最もセンシティブに優生思想と闘う一方、詩人で、母・父に対する複雑な想いの表現者でもあった横田の哲学を、「行動綱領」を中心に、仏教思想や脳性麻痺者のコロニー「マハ・ラバ村」時代、他の患者・障害者運動との比較など、関係者への取材から源流を探っていく。 著者の荒井裕樹(あらい・ゆうき)さんは、二松學舍大学講師で日本近現代文学 障害者文化論を教えている。著書『生きていく絵―アートが人を〈癒す〉とき』(亜紀書房、2013年9月)、『隔離の文学―ハンセン病療養所の自己表現史』(単著、書肆アルス、2011年12月)『障害と文学―「しののめ」から「青い芝の会」へ』(現代書館、2011年2月)。なぜに文学研究者の、それも息子といってもよいくらい歳が離れた荒井さんに、横田さんが生前「行動綱領のことや僕たちの運動について、何も知らない人に、わかりやすく伝えられるよう書いてほしい」と頼んだのか、聞き返す間もなく横田さんが急逝されてしまい、衝撃的な謎のママ、横田弘の思想探求の旅に出る。 【目次】 序章 伝説・横田弘 「障害者運動」のイメージって?/障害者は不幸なのか?/この本のテーマ 第一章 どんな「主語」で自分を語るか 「行動綱領 われらかく行動する」/『ヘヴン』の世界/「大きな主語」と「小さな主語」/いま痛い人間は、とり乱すしかない 第二章 「横田弘」誕生 生い立ち/父との決別/マハラバ村の五戒 第三章 「青い芝の会」誕生 はじまりは「光明学校」/障害者は不平不満をこぼせない/「ヒルコ=脳性マヒ」説/「青い芝の会」の広がり 第四章「行動綱領」誕生 障害児殺し事件/怒り絶頂/「行動綱領」を無断掲載/危機感の守備範囲 第五章「行動綱領」の条文を読む 第一項…脳性マヒ者としての自覚をもて/第二項…強烈な自己主張こそ唯 一の路/第三項…愛と正義は障害者の敵/第四項…問題解決を目指してはいけない 第六章 生き延びるために「絶望」する 「行動綱領」と『歎異抄』/大仏和尚版「悪人正機」/すべてに向けて「絶望」する/「ゼロになる」という生存戦略 第七章 「行動綱領」改訂される 「行動綱領」改訂/「行動綱領」攻防戦/「行動綱領」は権利の主張?/健全者文明を否定する/飛行機とロケット 第八章 「脳性マヒ」に立ち帰れ 「全障連」の結成/「全障連」も「行動綱領」をもて!/「行動綱領」で組織が動くか?/原点回帰 第九章 「青い芝の会」と日本国憲法 憲法への熱い想い/「会則」第三条のゆくえ/目に見える敵がいない 第十章 脳性マヒ者にとって「解放」とは何か? 「怨の字、爆破」/自分を丸ごと受け入れられるか?/第一項に還る 第十一章 闘うのは「ありきたりなもの」のために 詩人・横田弘/自己否定の精神/母の戦慄/いのちの環 終 章 人間・横田弘 「想像力がないこと」も差別だ/「さとり」ということ/もう一つの「青い芝の会」/「横田弘」はよくわからない あとがき |
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