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山田わか 生と愛の条件 |
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装幀 箕浦卓 |
すでに半世紀以上前に亡くなっている山田わかの人生が多角的にかつ細やかに照らし出されているところに強く引き込まれるものを感じた。 売春を強いられそれを自己ナラティブの底に沈めて生き続けざるを得なかったわかもいれば、母性を礼賛しつつ戦時という時代状況下で次第に国家主義に傾倒していったわかもいる。 それらは、遠い過去の出来事というよりも、私たちがこの二十一世紀の日本で直面していることとどこかで響き合うものである。私は山田わかという視点から、自分と自分の社会を見直す。それはこれまで見落とされていた側面を照らし出してくれる新たな視点である。 ――能智正博(東京大学大学院教授) 本書解説 女性保守政治家の台頭する現在、彼女のような女性の思想変遷を検討する意義は大きいであろう。 ――海妻径子(岩手大学准教授/日本女性学会第16期代表幹事)図書新聞 女性思想家・運動家 山田わかの基本図書。劇的な人生を描く記念碑な評伝。 奪われた性≠ゥら愛国女性≠ヨ。「愛」と「殖やす」の違和感。 山田わか(1879-1957)の思想から、21世紀の産み育てる性を私も″lえる。 教育とケアに関するテキストにも最適。 【目次】 序 章 愛の飛翔と切断――人間と教育を学ぶために 望月雅和 第一章 イライザ・ドゥーリトルの憂鬱(一) 大友りお 第二章 イライザ・ドゥーリトルの憂鬱(二) 大友りお 第三章 女性の商品化と越境――出会いの地アメリカ 纓坂英子 第四章 対人援助と人道主義――山田わかにおける法と思想の原理 森脇健介 第五章 山田わかの反女権論とファシズムの時代――盟邦ドイツ・イタリアへの特派 弓削尚子 第六章 愛とケアについて――体験による学びと実践のレッスン 望月雅和 解 説 個人の人生の物語から何が読みとれるか 能智正博 山田わか年譜 〔著者紹介・編集担当者より] 現在の日本では、国家による最重要の課題の一つとして、「少子高齢化対策」が叫ばれているが、産み育てやケア、結婚は、現代においてどう捉えられるだろうか。山田わかの劇的な生涯と議論は、自らが性暴力の被害者であり当事者として、恋愛や産み育てから出産、保育とケアにまでおよび、愛国と保守思想を強調してフェミニズムの暗部を残していった。 今日、教育やケアのトピックは、子育て、保育といった問題から、不倫に対するモラルのあり方、戦前の教育勅語から森友学園問題までおよぶ。さらには保守の立場から桜井よし子、杉田水脈といった論客、優生思想と生存の差別、世界的な#MeToo運動に至るまでが、メディアを賑わして国政や社会にまで多大な影響を与えている。 本書では第一線の研究者によって、こうした国家と教育、子育てとケアの思想が、山田わかの生涯を通して鮮やかに論じられ批評されている。 ◎出版直後から反響続々 東京新聞書評掲載 「ふぇみん」書評掲載 海妻径子「2018年上半期の読者アンケート3冊」選定(図書新聞) 紀伊国屋書店「基本図書」選定 その他反響多数 編集・序文・第六章/望月雅和(もちづき・まさかず) 東京大学先端科学技術研究センター協力研究員、現代QOL研究所主席研究員・教育研究局長、小田原短期大学保育学科特任講師、早稲田大学ジェンダー研究所招聘研究員、日本心理職協会専務理事、日本子育て学会研究プロジェクト推進委員会委員長ほか 監修・解説/能智正博(のうち・まさひろ) 東京大学大学院教育学研究科教授 以下執筆順 第一・二章/大友りお(おおとも・りお) 日本映画大学映画学部教授 第三章/纓坂英子(おさか・えいこ) 駿河台大学心理学部教授、日本心理職協会理事 第四章/森脇健介(もりわき・けんすけ) 拓殖大学政経学部ほか非常勤講師、早稲田大学ジェンダー研究所招聘研究員 第五章/弓削尚子(ゆげ・なおこ) 早稲田大学法学学術院教授(ドイツ史・ジェンダー史)、同大学ジェンダー研究所所員 ※所属や役職等は本書の執筆時点 |
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