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漱石のいない写真 |
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装幀 奥冨佳津枝 |
■好評発売中! 偶発的に撮影され、『時事新報』に掲載された「秋晴れの上野」という写真を通して、大正・明治時代の著名人の写真観を考察する写真文化論。 大正4年10月12日発行の『時事新報』に掲載された「秋晴れの上野」というキャプションを付された写真。撮影者が偶然撮影した美しく盛装した女性たちは、実は夏目漱石の家族だった。この写真に文豪たちや将軍、天皇の写真観を重ね合わせ、当時の写真観を露わにする。 【著者紹介・担当編集者より】 1966年、東京生まれ。早稲田大学卒業。立教大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)。専攻は日本近代文学。 現在、聖学院大学、予備校等の兼任講師。主要論文に、「捕獲・介入・現前―漱石のいない写真―」(『日本近代文学』第73集、2005年)、「仏教─「孤独地獄」に始まる自己形象化の試み─」(『国文学解釈と鑑賞』別冊『芥川龍之介 その知的空間』、至文堂、2004年)などがある。著書に『地震と文学 災厄と共に生きていくための文学史』(笠間書院、2016年)がある。 写真論と位置づけるべきか、はたまた文学論と位置づけるべきか。両者を絶妙に織り交ぜながら明治・大正期の人間の写真観を浮き彫りにした本です。不意にカメラに捕らわれた漱石の家族が取った行動から、漱石自身が全身を緊張させて撮影に臨んだ姿勢から、そして写真嫌いの明治天皇の肖像画が御真影として全国に掲げられた事実から、写真が人々にもたらす影響を考察します。 【目次】 まえがき 序章 一枚の写真 「秋晴れの上野」 浮上する疑問 被写体となった夏目漱石の家族 第一章 夏目漱石の肖像 たじろがぬ漱石 「秋晴れの上野」の歴史性 日本の初期写真 大正四年の『時事新報』紙面 大正初期における新聞写真の撮影環境 第二章 写真をめぐる闘争 「友と友の間」 「初秋の日曜」という写真 スクープ合戦という主題の登場 越境する写真師たち 第三章 芥川龍之介の肖像 生み出される「作家の肖像」 「私小説」出現前夜 「顔」の露呈 処世としての「日記」 写真絵葉書 第四章 乃木希典の肖像 写真に賭けられたもの 撮影 意図 乃木静子の死 芥川龍之介の「将軍」観 第五章 明治天皇の肖像 封印されたもの 写真を嫌う明治天皇 明治帝から遠ざかる乃木希典の「殉死」 終章 もう一枚の写真 写真をめぐる旅の終わりに 生み出される生と死 主要参考文献 図版出典一覧 あとがき |
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